【45歳差の純愛】70歳のおじいちゃんとデートした話

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出会いはマッサージ


温泉に行くのが日課になっていたある日、健康センターで凝り固まった体をほぐしてもらおうと思い、施術を受けたのがきっかけでした。おじいちゃん子だった筆者にとって、ご年配のIさんはとても好感が持てました。たまにですが、「お尻って凝るんですよね~」とお尻を必要以上に揉みしだく若い男性がいたり、個人的なことを聞いてきたりする下心むき出しな男性がいるので、嫌な思いをします。それに比べてご年配の方は、人畜無害で寡黙な方が多いので心底安心しました。ですがまさかデートするまで仲良くなるとは、このときはまだ想像もつきませんでした。

おじいさんからデートのお誘い


クリント・イーストウッド似のIさんのマッサージに通って4年が過ぎた頃、1年近くぶりにマッサージへ行ってみました。もう覚えていないだろうなと思いつつ、Iさんと再会したら「お久しぶりです。お元気でしたか?」と紳士的にお声をかけて下さって、とても嬉しくなりました。仕事の影響で腰痛と肩こりがまたひどくなり始めたことを伝えると、「なにかあったらいつでもここへ連絡下さい。相談に乗ります」と名刺をくれました。帰宅後、今日のお礼のメールを送ると、「よかったらお会いしませんか?色々話しましょう」とデートのお誘いをしてきたので、「わ!やるな!!おじいちゃん!!」と思いました。

70歳のデートコース序章


Iさんの施術を受けたことがある母と姉に「Iさんにデートに誘われたんですけど!!」と報告しました。母も姉もIさんのファンだったので「え~Iさんすごいね、若いね!」と行ってきなよ~と勧められました。私もあの紳士的なおじいさんがどんなデートをするのか興味があったので、お誘いを受けることにしました。Iさんはとても喜んでくれて、当日はおまかせ下さい!!と張り切って下さいました。いよいよ当日、健康センターの前で待ち合わせて早めに着いた私は、入り口付近のベンチに座って待っていました。携帯をいじっていたのでカシャカシャとシャッター音が聞こえて顔を上げました。するとIさんが私を撮っているではありませんか!!一通り撮り終わると、にこりと微笑み、「美しいって、やはり、素晴らしいですね」と言いました。ほわ~!!最初から飛ばしてきたよ、この人は!!と焦りながらも、今度は健康センターのなかへ入り、錦鯉の絵画の前でポーズを撮り、従業員が微笑ましく見守るなか、前途多難
な気配に、ひとかけらの不安がよぎるのでした。

70歳のデートコース第二章


桜を見に車で移動しました。目的地に着くと助手席に座っている私の扉を開けに来てくれて、眩しいからと、タモリさんがかけているようなサングラスを貰いました。そこでもやはり、桜の前で指示されたポーズをとり、写真を撮るのでした。サングラスとフェミニンな格好のアンバランスさが気になって、顔がひきつりましたが、Iさんがとても嬉しそうにしていたので、こんな私で喜んでくれるなら良かったなと思いました。広場から展望台のようなところへ移動し、快晴の空を見たり、喫茶店でお話をしながら紅茶を飲んだり、とても穏やかで心地よい時間が流れました。

70歳のデートコース第三章


Iさんが最も一緒に来たかったというところへ案内してもらいました。鉄骨で構成された東京スカイツリーを小さくしたような建造物は、巷では有名なデートスポットなんだそうです。とくに景色が良いわけでもないのに、なにで恋人たちの気を引いているのだろうとよく見たら、鉄骨の至るところに南京錠がつけられていて、それには恋人たちの名前がそれぞれ書いてありました。そこは、永遠の愛を誓う場所だったようなのです。「指を金網に入れてもらってもいいですか」と言われたので入れると、近くからIさんも指を入れて、私の指に絡ませました。「南京錠の代わりです」と照れながら言いました。恥ずかしがって若い男性にはできないだろうな、と思いました。とてもロマンチックでした。

70歳の告白


それから、二人で景色を眺めていると、Iさんが話を切り出しました。「今日はお付き合い頂いてありがとうございます。とても楽しかったです。」「これからも長く、お付き合い下さい」「ですが私は、あなたを困らせるつもりはありません」と続けました。「私はこの年で、生まれて初めてこんなに恋をしました」と、情熱的に言われました。「ですが今後を考えているつもりはありません。迷惑をかけたくないですから。ただ、あなたに関わっていたいです」私がIさんと40歳以上年が離れていて、恋人としてお付き合いすることや、結婚を考えることができないことを汲んで言ったのだと思います。私は、これほどまでに切なく純粋な恋を、知りません。私は「私でよかったらぜひ、色々なところに、これからもご一緒させて下さい」と応えました。後日、姉にデートはどうだった?と聞かれたので、すべてを話すと、「Iさんカッコいいなぁ。年が近かったら惚れちゃうね。切ないね」と、私と同じような複雑な表情を浮かべていました。東北から関東に引っ越してから疎遠になってしまいましたが、私はこのデートを、一生忘れません。

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祭(まつり)
ライター

祭(まつり)

ワンピースのルフィ、H×Hのゴン、クレヨンしんちゃん、声優の高山みなみさんと同じ5月5日生まれ。おうし座、亥年、男の子の日生まれと待望の男子かと思われたが、生まれたのは病弱な女子だった。生粋の左利き。動物占いは群れを好まない「狼」。ショップ店員に紫色が異様に似合うと過去5回言われたが、本人は深海の蒼色好き。

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