【毎日、死にたいと思っていた】「汚いから近寄るな!」残酷な「いじめ」の末の登校拒否《中学生編》

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歴史は繰り返される


私が中学2年生のときに最悪なクラス替えが起こりました。同じアパートに住む底意地の悪い男と、あろうことか同じクラスになってしまったのです。彼の腰巾着なる冴えない男もまた、同じクラスになり、いじめの再来は免れませんでした。

小学生とは質が違ういじめ


思い出しただけで人間嫌いが再発しそうになるのですが、彼らは私が写っている写真を全て、コンパスの先で潰して回りました。私の顔だけ誰だかわからなくなっているのに、担任は気づきもしませんでした。給食当番では「おまえがやると食えなくなるからやめろ」と言われたので、ただ後ろに突っ立っているだけだったり、掃除は雑巾をしぼる用のバケツを私だけ分けられました。気づかないで使おうとしたクラスメイトに「祭菌がうつるぞ!」と使うのを止めていました。「チビデブ短足ブス鼻整形」という、私の容姿をいかに早口で言えるかというものを、競ってやっていたりもしていました。そのなかでも私がとくに嫌だったのが、誰もやりたがらない係や、学級委員を無記名投票で決める際に、大量に私の名前を書いて箱に入れ、学級委員に無理矢理させられたことでした。そうして見えないところで、確実にいじめは進行していきました。

すべてがうまくいかなくなる


このとき、私は家族ぐるみでお付き合いのある友人が登校拒否をしている事実を知ります。彼女の「頑張らなくていい。学校に行かないことは逃げじゃない」という言葉に衝撃を受け、それまで無遅刻無欠勤だった私は遅刻して行くようになり、ときどき休むようになりました。その後、いじめの苦痛からは逃れられるようになりましたが、休むことでその理由を毎回、母に嘘をつかなくてはならなくなり、罪悪感から、気持ちが楽になることはありませんでした。

救世主の存在


休んだことでさらに行きづらくなるという悪循環に、頻繁に休むようになった頃、勘づくクラスメイトがちらほら現れ始めました。私を気に入っている素振りを見せていたクラスの人気者もその一人でした。彼は彼なりの方法で私を気にかけてくれている様子でした。私が手を怪我して、派手に血を流したとき「うわ汚ッ!!近づくなよテメェ」と足蹴にされる一部始終を見ていたのか、当時流行っていたキャラクターの絆創膏をくれて、「俺のお気に入り、祭にやるよ」「大切に使ってね」と渡してくれたことがありました。私は胸に溜まっていた弱音が全て溢れて来そうで、ぐっと堪えました。

見えないところで


私が当時、スーパーラヴァーズというブランドのマフラーと手袋をしていったときに、とても目立っていたので同学年のヤンキーに目をつけられそうになりました。そのとき彼は、私のマフラーと手袋をして「どう?似合う?」と廊下を歩き、同級生に愛想を振りまいて回ったのです。人気者の彼がそうすることで、私はそれからもヤンキーに絡まれることなく、そのマフラーと手袋をして登校することができました。私がピアスを開けたときも、彼が開けることによって、誰にも「生意気」などは言われなくて済みました

彼の絶対的存在


そうして私を何気なく助けてくれるのを知りつつも、私は彼にお礼すら言えずにいました。彼は異性で初めて私の存在を認めてくれた特別な存在でした。あるとき、私が奴らに囲まれていると「祭、大丈夫か?」と声をかけてくれたことがありました。私はそのとき、とても恥ずかしくて、とてもみじめで、この状況に身を置いている自分が悔しくて、顔が真っ赤になるのを感じました。「大丈夫だから!ほっといて」と言う以外なかったことを覚えています。彼は、私がいじめられているのを知っていて、だけど私が助けを必要としていないことに歯がゆさを感じていたのかもしれません。そう思っているうちに、私のなかで彼の存在が次第に大きくなっていきました。

彼との絶対的距離感


彼に憧れのような、恋心に似た感情が芽生えつつも、人気者の彼には常に恋人がいて、彼の周りにはとりまき連中が誰かしらいる状態で、話しかけることすらできませんでした。なので、彼が私に話しかけることで腹をたてたとりまき連中に、今度は陰険な嫌がらせをされるようになったのです。

女子生徒からの嫌がらせ


男子からしかいじめられていなかった私は、女子のいじめに戸惑いを隠せませんでした。一生懸命書いた黒板の日付を消されたり、理科の実験で指紋が消えるかもしれない劇薬に指を長く入れさせられたり、ペンライトに「危険ですので目には絶対当てないようにして下さい」と注意書きされているものを、体を押さえつけられて右目に当てさせられたりと、彼の見えないところでそれは行われていきました。とくに女子だけの体育は地獄でした。球技の授業中、後ろからドンと押されて転ばされたり、間違えた素振りでわざとボールを何度も当てられました。よそ見をしているときに顔面に当てられたときはさすがに涙が出ました。「よぉ、祭!元気か?」と彼が声をかけるそばで、彼を囲んでいる女子たちが私を見る顔を、私は一生忘れられません。そうして、私は彼に近づかないようになっていったのです。

完全なる登校拒否のきっかけ


私はまた孤独と闘うようになりました。彼は私が無視するのもおかまいなしに明るく声をかけてくれます。こんなに冷たい態度をとる私に変わらず挨拶してくれることに、嬉しい気持ちで一杯でしたが、表には決して出しませんでした。そんなとき、修学旅行で東京ディズニーランドへ行く季節になり、私は彼になにかこっそりプレゼントを渡そうと思い付いたのです。それがいけなかったのです。なにが良いか迷いすぎて、集合時間に遅れてしまい、クラスメイトの怒りを一身に受けることになりました。私はひたすら謝りながら、ふと顔をあげました。取り囲まれている少し後ろで、彼も怒りで顔を歪ませていたのです。私はこのとき完全に、私の味方はいなくなったと思いました

修学旅行の思い出


彼と目が合ったとき、私はひどく傷ついた顔をしていたんだと思います。その直後から彼はいつも以上に私に話しかけてきました。エレベーターで鉢合わせたときに、彼が私の私服を誉めても、私が何も反応を示さないことにとても動揺していました。無言のままエレベーターから降りて、そのまま部屋へ入ろうとする私の肩を掴んで、「祭!」と何か言いたそうでしたが、私の心はすでに壁を作っていました。「もう私に構わなくていいよ」とだけ言って、その場を離れました。それが、彼と交わした最後の言葉になりました

彼からの贈る言葉


私が完全に家に引きこもるようになってしばらくすると、クラス代表で訪問してきたクラスメイトを通じて、彼から手紙をもらいました。「祭がいないと寂しいよ」という暖かい言葉をもらいました。手紙なら、私は素直になれます。私はその返事に「いっちゃん(彼の名前)、いっちゃん(一番)好きだったよ」とダジャレ混じりに伝え、「今までずっと気にかけてくれたこと、気づいていました。本当にありがとう」と書きました。彼にはとても感謝していました。少なくても小学生のときのような四面楚歌ではなかったからです。

誤解と打開策


だいぶ後になってからわかることなのですが、いじめていた腰巾着と再会する機会があり、「あのときは祭を好きだった」と伝えられて心底驚きました。彼の歪んだ愛情表現が、私を長年に渡り苦しめてきたかと思うとなかなか気持ちの整理がつきませんでした。こうして私は人生のひとつのモヤモヤに、終止符を打つことができたのです。なので今、この瞬間にもいじめで悩み、毎日死にたいと思っている方がいたら、何年後かの自分に答えを求めるように、生きてみてほしいと思います。私ももちろん、彼らもまた子どもで、とても不器用な人間なのです。いつか、未来の自分が過去の自分を抱きしめてあげるようになることを、私は願って止みません。

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祭(まつり)
ライター

祭(まつり)

ワンピースのルフィ、H×Hのゴン、クレヨンしんちゃん、声優の高山みなみさんと同じ5月5日生まれ。おうし座、亥年、男の子の日生まれと待望の男子かと思われたが、生まれたのは病弱な女子だった。生粋の左利き。動物占いは群れを好まない「狼」。ショップ店員に紫色が異様に似合うと過去5回言われたが、本人は深海の蒼色好き。

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